第3回例会は、2006年6月24日、会員、修習生、法科大学院生ら、合計約60名を迎え、盛大に開催されました。
本例会のテーマは「死刑弁護事件を通じて見える刑事弁護のあり方」でした。そして、安田好弘弁護士(第二東京弁護士会)より、「死刑事件弁護は刑事弁護の原点である」というテーマで基調講演が行われ、引き続いて、安田弁護士、村上満宏弁護士(愛知県弁護士会)、岩井信弁護士(第二東京弁護士会)をパネリストとして、パネルディスカッションを行い、死刑事件弁護のあり方、それを通じて見える刑事弁護のあり方などについて議論をしました。
基調講演においては、安田弁護士が取り組まれた死刑事件の中でも、近時、社会的に大きな問題となった事件を題材にしつつ、死刑事件の弁護活動について、事実の再現実験などのエピソードを交えながら、熱く語って頂きました。
その中でも、死刑事件においては、公訴事実とは直接関係がなくても1つ1つの細かい事実について争い、その事実の積み上げによって事件の真のストーリー、あるいはそこから浮かび上がってくる被告人の人間像を明らかにすることが何より重要であるということ、さらに、そのためには、とにかく自分で事実を再現実験するという姿勢が重要であるという話には心を打たれました。
事件の真のストーリー、被告人の人間像を、自らの再現実験によって明らかにすること、こういった取り組みはまさに刑事弁護活動の原点ともいうべきものです。
この講演を通じて、立ち返るべき刑事弁護の原点を再確認し、これから刑事弁護にどう取り組むべきかを真剣に考える機会を得ることができました。
その後のパネルディスカッションにおいては、①死刑制度の社会的意義、②事実の評価③被害者との関係などの論点について、各パネリストの経験談を踏まえつつ、議論を行いました。ここで語られた各弁護士の死刑事件の活動についても死刑事件以外の刑事弁護活動に大きな示唆を与えるものばかりでした。
刑事裁判制度が大きく変わりゆく中で、みなが死刑事件の弁護活動の中から見える刑事弁護のあり方というものを強く認識し、今後の刑事弁護について、再度真剣に考え、議論する機会を得ることができる、大変有意義な会となりました。
(文責:事務局企画担当 久保田恭章)