第2回例会は、2006年2月24日に「公判前整理手続きが始まった」と題し、公判前整理手続きを経験した全国各地の弁護団の参加するパネルディスカッションを中心に行われた。刑事手続きを大きく変える可能性を持つと言われている新制度への感心の高さもあり、参加者は若手を中心に70名にものぼった。
例会においては、まず櫻井光政弁護士から公判前整理手続きの制度概要や実務的な手続きの流れについての簡単なレクチャーが行われた後、東京における公判前整理手続きの1号事件から堀井準弁護士、屋宮昇太弁護士が、2号事件から高橋俊彦弁護士、坂根真也弁護士が、大阪における公判前整理手続きの1号事件から下村忠利弁護士が、2号事件から寺田有美子弁護士が、また横浜からも弁護団が参加し、パネルディスカッションが行われた。
証拠開示手続きについては予想以上に多くのものが出てきたとして各弁護団ともに一定の評価を与えながらも、証拠開示の対象が検察官の手持ち証拠に限られるのかや、類型証拠開示におけるいわゆる6号書面の対象等について、今後の運用で開示対象としていくための弁護人側の努力が必要であることが提言されました。
他方公判前整理手続きが極めてタイトな日程において行われることで、弁護人に極めて過重な負担を強いていること等については、公判前整理手続き自体について迅速化を目指すことは法の趣旨に反し、拙速をもたらすことの問題認識が広く共有されていることも浮かび上がってきました。またこれに関連して、公判前整理手続きを行うことが保釈を先延ばしし、身体拘束を長引かせることの弊害等についての問題提起も行われました。
このように各地の運用の実情をふまえた上で、会場内からも積極的な質問が出され熱気のうちに例会は終わりました。
こうして裁判員制度とともに、刑事司法改革の1つの目玉として取り入れられた公判前整理手続が各地で導入されて間もない時期に、このように経験交流が行われることの意義はパネリストの屋宮弁護士の次のような発言が端的に示しています。
「制度自体が固まっていない中で、今後の弁護人の活動次第で、公判前整理手続きが弁護人にとって武器となるか、被告人にとって不利益な制度となってしまうのかが決まる。制度の行方は弁護士全員の熱意ある取り組みにかかっている。」
公判前整理手続きについては、本例会のみならず、今後も定期的にこうした集まりを持つことで検証を続けていく必要があるように思われます。
(文責:事務局企画担当 谷口太規)