HOME > 刑事弁護フォーラムとは > 設立趣意
刑事弁護フォーラムの設立時に掲げた設立趣意です。
今、刑事弁護実務は大きな変化の時期を迎えている。2006年からは重罪事件について被疑者国選弁護が実施され、2009年にはそれが必要的弁護事件にまで拡大される。また、同年中には裁判員制度もスタートする。そしてこれを支える制度として2006年に日本司法支援センターが発足し、手続に関しては公判前整理手続の導入など刑事訴訟法の大改正がなされている。
一連の司法改革の流れの中に位置づけられるこれらの変化に対して、弁護士の担うべき役割、とりわけ刑事手続に関する弁護人・少年事件における付添人(以下弁護人というときは特段の断りがない限り付添人も含めるものとします)の重要性が増すことは明らかである。
しかし、実際の刑事弁護の現場は慢性的な人材不足に見舞われており、とりわけ地裁全件のおよそ75%を占める国選事件は、弁護士会ごとに多少の差はあれ、ぎりぎりで運用されていると言って過言でない。現状のままでは2009年に予定されている被疑者国選の本格実施に対応できないおそれがある。
弁護人の役割の重要性に関して論ずべきはその数ばかりではない。手続自体が大きく変化しようとしているこの時期には、捜査の側からはなるべく捜査の権限を拡大する運用をしようとする動きが生じるし、裁判所の側からは簡便な処理や職権的な処理を広範に認める運用を導入しようとする動きが生じることは必至である。
そしてそれらの運用はしばしば被疑者・被告人・少年の人権を制限する方向で働くことから、弁護人の側において、被疑者・被告人・少年の権利を擁護・確立する方向での運用を目指す行動が何よりも不可欠となる。
時代は高い質を持つ刑事弁護士を多数求めている。しかしながら、わが国の弁護士はまだこれに十分応えられていないことを直視しなければならない。われわれは、刑事裁判が大きく変わろうとしているこのときに、自らが有能な刑事弁護士となるとともに、多数の後進を育成していくことが必要だと考えるに至った。
われわれは、刑事弁護の質を高めるべく研究を行う。また、刑事弁護を担う後進の育成に努める。さらに刑事訴訟実務を、被疑者・被告人・少年の人権を十分保障するものに変えていく。そのために「刑事弁護フォーラム」を設立する。
2005年7月15日