もし、家族・友人が逮捕されたら……?
☆ 逮捕された後の刑事手続の流れについては,こちら
逮捕された人は多くの場合は警察署の留置場で身体拘束されています。そこで逮捕された家族や知人とは、警察署で面会することができます。
警察署で面会をする場合は、事前に逮捕されている警察署に電話をして、家族・知人が警察署にいるかどうかを確認しましょう。逮捕された人は、警察署での取調べを受けることもあれば、手続のために検察庁や裁判所に行っていることもあります。また実況見分のために事件現場にいることもあります。確実に面会するためには事前に警察署に電話をして警察署にいるかどうかを確認しましょう。
警察署にいることが確認できれば、警察署で面会をすることができます。面会場所は警察署の留置管理課にある面会室です。警察署の総合案内で面会に来た旨告げれば、留置管理課の場所を教えてもらえます。そこで面会の申込書を書いて面会をすることができます。
警察署での面会は、多くの場合は平日の午前8時半から午後4時ころまで(昼休みを除く)です。各警察署によっても面会時間が違いますので、事前に警察署に電話で確認するようにしましょう。
逮捕勾留された人が,裁判所の決定で,接見禁止処分となることがあります。接見禁止処分とは,弁護人以外の一般人(家族を含みます)とは面会や文書のやり取りができなくなる処分です。お金や衣類などは差し入れできます。
従って,接見禁止処分が成されている場合の本人との連絡は,弁護人に依頼するしかありません。
接見禁止処分は,起訴されると解除される場合や,第1審判決まで解除されない場合があります。
また,接見禁止処分中でも,申請によって一部解除(1日だけ面会できる)が認められる場合がありますので,弁護人と相談してみましょう。
弁護人とは異なり,一般の方が警察署で面会するには,様々な制限があります。あらかじめ,制限時間や人数を確認しておかないと,短すぎて話したいことが話せなかった,家族みんなで行ったら全員会えなかった,といったことになりかねません。
そこで,警察署での面会には次のような制限があるということを十分理解して,面会に行くようにこころがけてください。
面会は,通常,1回につき15分から20分の時間制限があります。警察署によりますので確認してください。
1回の面会につき,入室することができる人数は3名となっている警察署が一般的です。また,1日に被疑者の方が面会できる回数は1回(弁護人を除いて)だけですので,既にほかの人が面会をしてしまった場合は,面会をすることができなくなってしまいますので注意してください。
被疑者の方が取調べを受けていたり,実況見分の立会いをしている場合には,原則として面会をすることができなくなります。
面会には,警察の留置係の係員が立ち合い,証拠隠滅の疑いがあるやりとりをしていないか等のチェックをします。係員の立会いには違和感があるかもしれませんが,不審なやりとりをしていない限り会話を遮ったりはしませんので,特に気にする必要はありません。
面会をする際に,身分を確認されますので,自分の身分を証明できる物(免許証,保険証等)を持って行って下さい。また,押印をする欄がありますので,印鑑も持って行って下さい(ない場合は拇印になります)。
警察署での差し入れは「留置管理課」で行います。警察署の総合受付で差し入れをしたい旨伝えれば、留置管理課まで案内してもらえます。そして、そこで所定の用紙を記入し、差し入れたい物を警察官に渡せば差し入れをすることができます。
また、警察まで行くことができない場合は、警察署宛てに差し入れたいものを郵送して、差し入れることもできます。その際に、被疑者の名前と、差し入れをする人と被疑者との関係がわかるようにしましょう。
警察署に行けば、いつでもどんなものでも差し入れができるわけではありません。
まず、差し入れを受け付けてもらえる時間は、午前9時半から午前11時まで、午後1時から午後4時までが多いです。ただ、警察署によって違いがある場合もありますので、事前に各警察署の留置管理課に問い合わせることをおすすめします。
次に、差し入れできるものについてですが、衣服や本、お金などを差し入れることができます。ただし、衣服については、ひも状のものを差し入れることはできません。例えばジャージの腰の部分のひもなどは切るなり抜き取らされます。また、その他にも差し入れできる衣服が制限されることがありますので、留置管理課にあらかじめ確認しましょう。また、食べ物は直接差し入れることはできません。お金を差し入れれば,留置の中で本人が自弁(自分でお弁当を買うこと)をすることができます。
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基本的には手紙や写真を警察署にいる被疑者宛てに送ることはできます。警察署で身体拘束されている人は非常に不安な気持ちになっているので、家族や知り合いの方からの手紙や写真は大きな力になります。
ただし、手紙や写真は被疑者の手元に届く前に警察の留置管理課の警察官に検閲されます。証拠隠しや逃亡について書かれていないかをチェックされます。
また、被疑者によっては接見禁止処分が付されている場合があります。これは、単に警察署に勾留するだけでは証拠隠しをしたり、逃亡したりする恐れが強いと判断された場合に付されるものです。この接見禁止処分が付されると、一般の人と被疑者は面会をすることができなくなるだけではなく、手紙や写真の受け渡しも禁止されます。手紙を送っても被疑者の手元には届きませんので弁護人にお願いしましょう。
警察署での面会と同様、一般の方が拘置所で面会・差し入れをするには様々な制限があります。そこで、拘置所での面会・差し入れには次のような制限があるということを十分理解して、面会・差し入れに行くようにこころがけてください。また、拘置所ごとに取り扱いが異なることもありますので、事前に拘置所に連絡をして、面会や差し入れが可能であるかを確認しておくことをお勧めいたします。
拘置所では、平日の9時~午後0時,午後1時~午後5時が面会可能時間となっています。受付時間は,午前8時30分~午前11時30分、午後0時30分~午後4時が受付時間となっています。受付時間を過ぎると面会申込ができなくなってしまいますので注意してください。
身分確認された場合に備えて、自分の身分を証明できる物(免許証等の顔写真がついたもの、保険証等)と印鑑を持参することをお勧めいたします。
なお、刑が確定している者に面会する際には、自分の身分を証明する物と印鑑が必要になります(印鑑がない場合は拇印になります)。
面会時間は、拘置所によりますが,東京拘置所のように収容人員が多い所では,10分程度しか認められない場合がほとんどです。
面会につき入室することができる人数が3名となっている拘置所が一般的です。
また、1日に被疑者・被告人が面会できる回数は1回だけ(弁護人を除く)です。既にほかの人(弁護人を除く)が被疑者・被告人と面会をしてしまった場合は、面会をすることができなくなってしまいますので注意してください。
なお、被疑者・被告人がその日に誰かと面会をしたのか否かについて拘置所に問い合わせても、個人情報であることを理由として、通常教えてくれません。
面会には、拘置所の係員が立ち合い、証拠隠滅の疑いがあるやりとりをしていないか等のチェックをします。ただし、不審な会話ややりとりをしていない限り、会話を遮るということはありません。
拘置所にいる場合でも,接見禁止処分が付されたままであることがあります。
拘置所は,警察署と違い,電話では教えてくれませんので,直接行ってみるか,弁護人に確認するのがよいでしょう。
平日のみです。
拘置所の窓口で手続をすることになります。
面会の受付時間と差し入れの受付時間が異なることもありますので、注意が必要です。たとえば、東京拘置所では、午前8時30分~午後0時、午後1時~3時30分が差し入れの受付時間となっています。
現金や衣類、書籍は差し入れることができます。ただし、ヒモ類を差し入れることはできません。衣服等にヒモ類がついている場合には、ヒモ類が取り外されます。また、衣類には枚数・品物等の制限が、書籍も1回につき3冊まで等の制限があります。
筆記用具類、通信用具類、日用品類、飲食物は直接は差し入れが認められないのが一般的ですが,売店で購入して差し入れることができます。また,本人が中で購入することもできますので,お金を差し入れてもよいでしょう。
また、手紙は差し入れできず,郵送してくれといわれます。
なお,差し入れられる物は,警察署と拘置所で異なりますので,必ず確認してください。
印鑑を持って行って下さい。また,念のため身分証も持参しましょう。
接見禁止が付されている場合は,書籍は差し入れできません。
家族や友人が逮捕されたとき、周囲の人には情報が少なく、とても不安に思われることでしょう。
そのような中、周囲の人ができることは、まず、逮捕された人を弁護する弁護士を探すことです。
お知り合いに弁護士がいる場合には、その弁護士に依頼することが考えられますが、そのような弁護士がいない場合には、どのようにして弁護士を探し、依頼することができるのでしょうか。
知り合いの弁護士がいない場合には、ご自身でインターネット等を利用して、特定の弁護士を探すことが考えられます。インターネットでは,弁護士を紹介しているサイトや,各弁護士事務所のホームページなどがあります。刑事事件を得意分野としているかどうかを見定めて,法律相談をしてみましょう。
なお,私選で弁護士を依頼する場合には,できれば複数の弁護士に相談してみることをおすすめします。
当番弁護士制度とは、各都道府県にある弁護士会が運営している制度です。当番弁護士を待機させておき,身体拘束されている被疑者、被告人や家族等から、弁護士会に接見の依頼があった場合に、当番弁護士が1回だけ無料で接見に赴き、被疑者被告人の相談に応じる制度です。
A:当番弁護士は、接見をして,逮捕された人に対して,アドバイスをするのが原則です。今後の刑事手続の流れ,事件の見通し,被疑者に認められている権利(黙秘権など)について、説明します。さらに、ご家族等への伝言を行うこともあります。
A:できます。
具体的な手続きは、当該当番弁護士と相談してください。
弁護士費用には、起訴前の弁護費用、起訴後の弁護費用としてそれぞれ「着手金」と「報酬金」があります。この点弁護士費用については、各弁護士がそれぞれ設定することができるため、必ずしも金額が一定ではありません。弁護士費用には,上記の着手金と報酬の他に,日当や実費(交通費,記録謄写費用など)がかかる場合があります。
ただ、東京三弁護士会が、「当番弁護士マニュアル」という本の中で、弁護士費用の目安として、
(起訴前)
(起訴後)
を挙げており、参考になると思います。
なお、弁護士費用が払えない、という方のために、「被疑者援助制度」、「国選弁護制度」という制度があります。
被疑者援助制度とは、逮捕・勾留された被疑者に弁護士費用を払うだけのお金が無い場合に、法テラスが弁護士費用を立て替える制度です(なお、一定の重大事件(死刑または無期もしくは長期3年を超える懲役もしくは禁錮にあたる事件)について勾留された後は、被疑者国選弁護制度の対象となり,援助制度は使えません)。
起訴されるまでの期間のみ利用できる制度です。
なお、援助が認められても、償還を求められる可能性があります。
援助申請は弁護人がすることになりますので,弁護士と相談してください。
国選弁護制度とは、被疑者・被告人に、弁護士費用を支払うだけのお金が無い場合、本人に代わり裁判所が弁護人を選任し、その費用を国が立て替える制度です。
国選弁護制度は、被疑者であるとき、被告人であるとき双方に適用があります。
なお、国選弁護制度においても、最終的に費用の償還を求められることがあります。特に執行猶予判決となった場合には,負担を命じられることも多いです。
A 私選弁護と国選弁護との間に、弁護人の職務内容・権利に一切違いはありません。
両者の違いを挙げるとすれば、
くらいでしょう。
すなわち